緑内障の原因
緑内障の直接的な原因は、前房内の房水が隅角からうまく排出されず、眼球内の圧力が高くなること。
緑内障のリスク要因としては、眼圧の上昇による視神経の障害が主な要因ですが、その他にも、血流障害、近視、血管の痙攣(スパスム)なども緑内障の悪化に関わっており、どの要因が影響しているかによって治療法も異なってきます。
また、次に当てはまる人も緑内障には気をつけてほしいので、一度検査を受けることをおすすめします。
●近視はその程度が高いほど、緑内障になるリスクが高いといわれます。
→ 緑内障になりやすい人、なりにくい人の差は近視|#この差って何ですか について詳しくはこちら
●低体温・低血圧・高血圧・頭痛・冷え性の方は、血流が悪いと考えられ、この血流の悪さが、視神経にダメージを与える要因になりうると考えられます。
・低血圧になると、全身の血流が悪くなることにより、網膜の血流低下を招くと考えられます。
・高血圧になると、網膜の毛細血管が動脈硬化になることによって、網膜の血流低下を招くと考えられます。
・偏頭痛になると、脳の血管が収縮・拡張しやすく、網膜でも同じように血流低下を招くと考えられます。
●米国眼科学会(AAO)のアドバイスによれば、糖尿病によって、糖尿病網膜症、緑内障、白内障といった目の病気になりやすく、失明を予防するためにも血糖値コントロールと定期的な眼科検診が重要なのだそうです。
糖尿病になると、毛細血管を傷つけることにより、血流低下を招くと考えられます。
●緑内障とは、目が正常な機能を保てる「適正な眼圧」以上の眼圧のために、視神経が障害され、視野が欠けてくる病気ですが、日本人には正常眼圧緑内障が多い!?で紹介した日本緑内障学会が岐阜県多治見市で40歳以上を対象に行なった調査によれば、緑内障と診断された人は約5.8%で、そのうちの6割が眼圧が正常範囲であるにもかかわらず、緑内障になっている「正常眼圧緑内障(NTG)」だったため、眼圧以外に何らかの原因があることが考えられます。
睡眠時無呼吸症候群の患者は健常者と比べて緑内障になるリスクが約10倍高いそうです。
睡眠時無呼吸症候群の患者は緑内障になるリスクが高い|正常眼圧緑内障の原因は「低酸素状態」の可能性があるで紹介した北海道大学の研究グループによれば、睡眠時無呼吸症候群の患者は発作時に気道が閉塞して息が吸い込めなくなるために胸腔内の圧力が下がって眼圧が下がることがわかったそうです。
無呼吸発作が起きると、眼圧が下がると同時に血中酸素飽和度も下がることがわかったため、睡眠時無呼吸症候群の患者は、低酸素状態などの眼圧上昇以外の仕組みによって視神経障害が引き起こされるという可能性があるそうです。
→ 睡眠時無呼吸症候群(SAS)の症状・原因・検査・治療法 について詳しくはこちら
●日本人の緑内障患者の多くが正常眼圧緑内障であり、眼圧以外の要因が発症に関わっている可能性があり、近年、酸化ストレスはその要因の一つではないかと注目されています。
東北大の研究によれば、65 歳以下の男性の緑内障患者では BAP(フリーラジカル分析装置で測定できる血漿中の抗酸化力)と緑内障重症度である網膜神経節細胞数に正の相関があることがわかったことから、抗酸化力が低いと緑内障が重症化しやすいと考えられます。
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